遠そうな望みは突然に

「いつかしらんけど、タワーマンションに住むの！私」

と

がっつりではなく

「住みたい」「住めるかも」「住んでもよくない？」

そんなふうに

住みたいから住めたらいいなぁ

と、あまり意気込まずに考えていた

宝くじで１等でも当たったら

タワマン買うからぁ

どの辺の地区にしようかしらぁ

って　ぼんやり考えていたり

誰かと

夢の話をすれば

「私はいつかタワマンに住むことにしたの！」と

口にしたり

だけど

あまりがちがちに願ってはいなかった

現実味を感じていなかった

だからそんなこと話を

たまに誰かとしながら

２年は過ぎた頃だったか

突如　転勤で３０年暮らした東京を

離れることになり

引っ越すことにどうしても

同意できずに１か月も抵抗し続け

住む部屋も　物件を並べられても

私が良いと思えるまでは却下

これ　で　いい　ではなくて

ここ　が　いい！と思える物件

だって

ずっと住んでいて

年齢的に転勤で動くとかあり得ないと

思い込んでいたのに

いきなり

私はそれの言いなりで

喜んでついていくわけ　ないっしょ

私にも意思があるし　暮らしがあるのよ

ひとりでいけばいいじゃん　って

言いたくもなる

ホントに嫌だったから

抵抗しまくること１か月

駅前のタワーマンションの物件が

やってきたのです

それまで　なにかにつけて

「タワマンに住む」と思い出しては

言っていたのに

引っ越し先の物件を選ぶときには

まるで「タワマン」のことなど

頭になかったのが不思議でした

「住むならタワマンよ！」と

その時に言葉にしていたら

期待できなかった気もします

「タワマンに住む」というオーダーを

したのだから

いつか住む日が来るんだと

それを待つだけだったということか

がっつりしなくても

注文したんだから

心配しなくても　届くんだなぁと

いう思い

遠そうな願いは突然に

いつ注文したのか忘れていたけど

たしかに注文して

届くことがあたりまえだから

安心して待っていた

だから

それが届いたのよね

注文したものは

届く

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